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定年のキホン~60歳を超えたら給与は変わるの?~

前回の記事『定年のキホン~定年制っていつからできたの?~』では、
定年の歴史についてまとめ、希望者全員が65歳まで働ける社会になった経緯を学びました。

おさらいすると、現在企業では

・継続雇用制度の導入
・定年年齢の65歳引き上げ
・定年制の廃止

これら3つの内1つの対応が義務づけられ、65歳まで働ける環境の整備をしなければならなくなりました。

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高齢労働者の増加

この取り組みにより、厚労省によると、60歳以上の労働者は、
2005年の105万人から、2015年には276万人に増えました。

60歳以上の常用労働者の推移

厚生労働省「平成 27 年「高年齢者の雇用状況」集計結果」より作成(従業員51人以上の企業) 

この10年間で日本人のライフスタイルを変えさせた大きな制度であることが分かります。

高齢者雇用確保措置の実施状況

では、実際に上記3つの内、企業はどれを選択したのでしょうか。

高齢者雇用確保措置割合

厚生労働省「平成 27 年「高年齢者の雇用状況」集計結果」より作成(147,740社の内訳)

継続雇用制度を導入しているのが大半ですね。

  • 理由としては、再雇用という形をとることで、60歳以降の給与額を下げやすい
  • 定年年齢の引き上げもしくは廃止を選択した場合、給与表の改定が必要。その場合、労使間での協議が面倒。

という理由から継続雇用制度を導入する企業が多いのではないかと考えます。

再雇用による労働条件の変化

では、継続雇用制度で定年再雇用された際、
給与をはじめとした雇用条件はどう変わるのでしょうか。

【労働時間】

継続雇用制度適用者の労働時間の変化 60歳以降

政府統計の総合窓口 『平成27年退職金、年金及び定年制事情調査』より作成

労働時間は今までと変わらないところが多いみたいですね。

一方、給与は、

【給与額】

継続雇用制度適用者の給与の変化 60歳以降

政府統計の総合窓口 『平成27年退職金、年金及び定年制事情調査』より作成

最も多いのが定年退職時の50%~80%
次に多いのが50%未満。
再雇用後は給与が大幅に減額されてしまうようです。

働き方は今までと変わらないけど、給与は大きく減らされる。

働くモチベーションはがた落ちなんでしょうね。
若手社員の皆さん、60歳以上の社員はこのように良くない条件で働いていることを前提に接してあげましょう。。

再雇用後の給与引き下げは違法!?

そんな現状に待ったをかける判例が出されました。
それが「長澤運輸事件

「長澤運輸事件」とは

貨物自動車の運送事業を行う長澤運輸(株)。
そこで運転手として働いていた3名が60歳の定年を迎え、
嘱託職員として今後働くことに。

仕事内容はタンク車の乗務員という定年前と同じ内容。
しかし、給与は定年前より3割も低下した。
賞与も退職金も住宅手当も家族手当も出ない。

「定年前と業務内容は変わらないのに、そんなの不合理すぎるだろ!?」

という理由で、3名の労働者は会社を訴えました。

結果は労働者側の勝利。(地方裁判所)

裁判所は、労働者が嘱託社員に転換した以降に支払われた賃金と、
正社員であれば支払われていたはずの賃金の差額等
合計約420万円を支払うよう会社に命じました。

裁判所は、定年前と再雇用後とで、

  • 業務の内容や責任に差異がない
  • 勤務地が変わる可能性があるなどの差異もない
  • 職務遂行能力も差異がない

ということから、期間の定めのない労働者と定めのある労働者の待遇について不合理な差別を禁止した労働契約法第20条に違反していると判断しました。

判決を受けて

前章でみてきたように、定年再雇用後に賃金の低下させることは多くの会社で当たり前のこととして行われていました。

多くの会社はこの判決にさぞびっくりしたでしょう。
うちの会社も訴えられるのではないかと戦戦恐恐としているのではないでしょうか。

有期雇用と無期雇用とで給与額を変えるなら、ちゃんとした理由(責任の度合いや業務内容)がないとだめだぞという今回の判決。

それは安倍首相が唱える「同一労働同一賃金」を支える判決にもなったのでした。


全員が65歳まで働ける社会。
法律自体はできたけど、社会全体でみるとまだまだ試行錯誤中のようです。

【おススメ書籍】

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