今回からは「学校教育法」についてみていきます。
学校教育法
昭和22年制定。
教育基本法を受け、幼稚園から大学までの教育を具体的にどうすべきなのかをまとめた法律。
平成18年の教育基本法の全面改正を受け、平成19年にこの法律も全面的に改正されました。
学校教育法は教育基本法に比べ条文が多いため、2回に分けてみていきます。
学校教育法 第一章 総則
<学校とは>
第1条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
義務教育学校とは小中一貫の学校のこと、
中等教育学校とは中高一貫の学校のことです。
これら1条に該当する学校を「1条校」と呼びます。
学校業界では当たり前として使われる言葉ですので、覚えておいて損はしません。
1条校でないものは、「専修学校」と「各種学校」があります。
専修学校:専門学校等
各種学校:予備校、日本語学校、自動車学校、そろばん学校等
これらは別の条文でそれぞれ規定されています。
<設置者>
第2条 学校は、国、地方公共団体及び私立学校法第三条に規定する学校法人のみが、これを設置することができる。
② この法律で、国立学校とは、国の設置する学校を、公立学校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、学校法人の設置する学校をいう。
1条に該当する学校は国・地方公共団体・学校法人、この3つのみが設置可能です。
国立学校:国が設置
公立学校:地方公共団体が設置
私立学校:学校法人が設置
<設置基準>
第3条 学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。
私立学校といえど、好きに学校を設立することはできません。
国が別に定めた設置基準(大学の場合は「大学設置基準」)の条件をクリアしなければなりません。
設置基準には校舎の面積や専任教員の数に加え、卒業の要件など大学の様々な場面での最低基準が細かく定められています。
詳しい条件は別の機会に説明しますが、本当にルールが細かいんです。笑
今回は「設置基準という大学を設置する上で細かな基準があるんだ」ということを知っていただければと思います。
参考に設置基準のリンク貼っておきます。
大学設置基準
<授業料>
第6条 学校においては、授業料を徴収することができる。ただし、(中略) 義務教育については、これを徴収することができない。
授業料を徴収できる根拠の条文です。
また、義務教育課程では授業料が無償であることを憲法26条に加え、この条文が規定しています。
<学校の教員>
第7条 学校には、校長及び相当数の教員を置かなければならない。
第9条 次の各号のいずれかに該当する者は、校長又は教員となることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 禁錮以上の刑に処せられた者
以下略
教員・校長になれる人が定められています。
禁固刑を受けた人は教員にはなれないんですね。
<懲戒>
第11条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
体罰は法律で禁止されています。
<健康診断>
第12条 学校においては、別に法律で定めるところにより、幼児、児童、生徒及び学生並びに職員の健康の保持増進を図るため、健康診断を行い、その他その保健に必要な措置を講じなければならない。
大学生時代にも毎年健康診断を受けた記憶がありますが、それは法律で定められていたんですね。
学校職員になってからも毎年健康診断を受けています。
<違反>
第15条 文部科学大臣は、公立又は私立の大学及び高等専門学校が、設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反していると認めるときは、当該学校に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
② 文部科学大臣は、前項の規定による勧告によつてもなお当該勧告に係る事項が改善されない場合には、当該学校に対し、その変更を命ずることができる。
③ 文部科学大臣は、前項の規定による命令によつてもなお勧告事項が改善されない場合には、当該学校に対し、当該勧告事項に係る組織の廃止を命ずることができる。
以下略
法令の規定に違反した大学があった場合は、
文部科学大臣は勧告⇒命令⇒廃止 という順番で対処をします。
以上が第一章 総則の主要な条文です。
これらは学校(1条校)全体に当てはまる規則です。
次回からは大学に当てはまるルールを見ていきます。
第2章の義務教育から第8章特別支援教育までの章は省略いたしますので、
興味がある方は下記リンクを見てみてください。
学校教育法
今日はここまで。
次回:大学職員が知っておくべき法律のキホン~学校教育法(第9章大学)~