映画『RAW-少女のめざめ』を観た感想~生々しい程の生きている実感~

「食人」を通して、「少女の成長」と「究極の愛」を描いた衝撃的な作品、『RAW-少女のめざめ』。

あまりにもショッキングな映像が多く、鑑賞後は食事が手につかなくなります。。
が、作品の根底に描かれているのは人間普遍的な要素なのかも。

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作品詳細

作品名:『RAW~少女のめざめ~』
原題 :『GRAVE/RAW』
公式サイト:http://raw-movie.jp/
製作国:フランス・ベルギー合作
監督 :ジュリア・デュクルノー
日本公開日:2018年2月2日
上映時間:98分

もともとフランスで公開されたのは2016年。
2016年のカンヌ国際映画祭で批評家連盟賞を受賞したのをきっかけに、フランスだけではなく、イギリスやアメリカでも大ヒットしたそうです。
満を持しての2018年、日本で公開されました。

あらすじ

厳格なベジタリアンの一家で育てられたジュスティーヌは、16歳の時に全寮制の獣医学校に進学する。
そこで待ち受けていたのは、壮絶な新入生いじり。ベッドを窓から投げ捨てられたり、動物の血を頭からかぶせられるなど、数々の洗礼を受ける。
そんな新入生いじりの最後に待ち受けていたのは、動物の生肉を食すこと。ジュスティーヌは食べることを拒否するが、無理やり食べさせられてしまった。
人生で初めて肉を食した彼女は、その後、隠れていた欲望が徐々に現れだす。
肉を食した次の日から堰を切ったように、食肉への欲望が止まらなくなる。
次第に動物の肉だけでは物足りなくなった彼女は、遂に人間の肉を欲望してしまう。。

まずは何より気持ち悪い。。

約100分、不気味でショッキングなシーンの連続です。
しかも、シーン一つ一つがとても長い。。
これでもかと、不気味な映像を見させられます。。

個人的には自分の髪をあれするシーンが一番辛かった。
「もういいよ! 分かったから。早く次のシーン行けよ!」
って、吐き気を催しながら思ってました。

観賞の前後2時間は食事を避けた方がいいかも。

しかし、ただ単純なカニバリズム的ホラー映画ではないんです。
「食肉」という切り口から、「少女の目覚め」だとか、「人間の真の愛」、「生きている実感」が本当のテーマなんじゃないかと思います。

少女から大人への目覚め

副題にもある通り、この作品は「少女の目覚め」を描いています。
「抑圧からの解放」、「恋」、「欲望の現れ」。
16歳の無垢な少女がこれらを経験し、大人の女性に少しずづ成長していきます。

しかも、その成長過程には痛みが伴います。
痛みを経験しながら、ウブな少女がエロティックな大人の女性へと生まれ変わる姿が、フランス映画らしくアーティステックに描かれています。
グロとエロがアートに描かれている作品です。

真の愛情

若干ネタバレになってしまいますが、
物語の最後、「それでも愛する無償の愛」に打ちのめされます。
「無償の愛」というよりも「犠牲を払ってでも寄り添っていたい愛」と、表現した方が良いかもしません。
最後に明かされる愛情の正体に、色んな意味で鳥肌が立ちました。(感動・恐怖・絶望)

生々しすぎる生への実感

この作品は感情よりも感覚が刺激される作品です。
痛み、吐き気、不気味。
心が動かされるよりも先に身体が反応してしまう映画でした。

ネット中心の生活をしていると、頭でっかちになって「身体性」がちょっとずつ失われていく気がします。
ネットを通して知識だけは増えるけど、その一方で身体で感じる経験はドンドン減ってしまっている人が多いと思うのです。
そんな中、この映画はガツンと感覚を刺激してきます。
ドロドロした生々しい生きてる実感を、思う存分味合わせてくれる作品です。


決してデートには向かない観る人を選ぶ映画です。
が、普段観る大衆向けエンタメ映画とは一線を画すメッセージ性の強い映画でした。

この映画を観て、みなさんもガツンと打ちのめされてみてはいかがでしょうか。

【『RAW-少女のめざめ』が観れる映画動画サイト】

以下4つのサイトで『RAW-少女のめざめ』を観ることができます。
Amazon ・TSUTAYA TV ・U-NEXT ・ビデオマーケット