海を見るのが好きです。生まれた場所が海の近い場所にあったからか、季節問わずよく海を見に行きます。
そして海を見ると必ずある言葉を思い出します。
「あーママのお腹の中だー」
これは2005年頃、あるテレビ番組で写真家の方が紹介していた言葉です。
10数年たった今でも忘れらない言葉です。
番組の詳細
「エコブーム」が到来していた2005年頃、「愛・地球博」の開催も重なって民法の各局ではよく「自然って大切だよね」といった自然に関する番組が放送されていました。
その中で今でも印象に残っている番組が、海について取り上げた3時間の特別番組です。(どこの放送局かは忘れました。)
その番組では、ある写真家を取り上げていました。
その写真家は海中を専門にしている海中写真家で、サンゴの写真や魚の群れなど海の中の風景を専門に撮っている写真家でした。
彼はインタビューの中で、自分が写真家として活動してきた中で、最も記憶に残っているエピソードを語りました。
海中写真家が語ったエピソード
以前個展の話をいただいて、個展を開きました。自分が今まで撮りためた魚の写真やサンゴの写真を展示することにしたのです。
それらの写真を入り口から順に展示をしていく中で、最後に展示する写真を何にするか迷いました。迷った挙句選んだ写真は、何も写っていない写真。
光がうっすらとしか届いていない深い海の中で、海水だけが写った濃い紫色の写真を飾ることにしました。
海の中のほとんどの風景はこういった何もない風景なんだ、ということを伝えたかったのです。
そんな個展を開いていると、ある親子が訪れてきました。
若いお母さんと3歳ぐらいの女の子。小さな女の子は綺麗なお魚の写真に大はしゃぎしていました。
そんな女の子が最後のあの写真を見た途端、立ち止まって何もしゃべらず、じっと写真を見つめだしました。不安に思ったお母さんがその子に、
「どうしたの?」
と話しかけると、
女の子はその写真を指差して、
「あーママのお腹の中だー。」
と言ったのです。
子供がお母さんのお腹の中で見ている風景は、海だったんだと知りました。
10年以上前の記憶なので発言内容がすべて合ってはいないと思います。
ただ、女の子の発言だけははっきりと今でも覚えています。
女の子はこの風景をどこかで見たことがあると思っていたけど、思い出せない。そんな中、お母さんから話しかけられて、お母さんのお腹の中を思い出したのでしょう。
この話がとても神秘的に感じ、当時10代だった私は深く感動しました。
海水と羊水の成分はほとんど同じ
調べてみると海水と赤ちゃんを包む羊水は成分がほとんど同じみたいです。
わたしたちの身体を構成するおもな元素の組成は、海水の組成とたいへんよく似ています。ことに羊水は、海水とほとんど同じです。このことは、生命が海で生まれたと考える重要な裏付けとされています。(参考)
赤ちゃんは羊水という海の中で育まれているんですね。
海を見る度に今回のエピソードを思い出します。
いつか子どもが生まれたらぜひ海を見せに行きたいです。
今回紹介した番組もしくは写真家のお名前をご存知の方がいたら、教えていただけたらと思います。