エンドゲームを2回観にいったら、やっとアベンジャーズ側の正義が分かった気がする。

前回、エンドゲームを一度観終わった後に感想を書きました。

【感想】「アベンジャーズ/エンドゲーム」に感じたモヤモヤ感 ~正義って何だろう?~
この記事はエンドゲームを1回目観終わった後に書いた記事です。 2回目を観てみると作品の印象が大きく変わりました。 (2回目鑑賞後の感想記事はこちら) 感動で涙したけど、どうしてもモヤモヤ感が残ってしまったのでブログに書かせてもらいます。 平...

そこでは、
「アベンジャーズ側の正義が分からない。。」
とモヤモヤした感情を書きました。

煮え切らなかったので、エンドゲームをもう一度観てきました。
結末を知ってから再度観てみると、前回とは違った視点で作品を観ることができ、1回目の感想とだいぶ違った感想を抱きました。

そこで今回は、前回の記事を書いた自分へのアンサーとして、エンドゲームの感想を再度書いていきます。

スポンサーリンク

観賞1回目のエンドゲームの感想

1回目観終わった後のモヤモヤ感は、アベンジャーズ側の正義感が分からないということでした。
アベンジャーズがやったことは、

・目的を達成し老後生活を送っているサノスを怒り任せに斬首
・過去から現れたサノスをパワーゲームで向かいうち、最後は指パッチンで敵側を抹殺

これがどこの正義のヒーローなの?

と、煮え切らない思いでした。

しかし、2回目を観たことで作品の奥深さを少し理解できた気がします。

リタイア後のサノスを怒り任せに斬首したシーン

このシーンでは「復讐とは何か?」ということを教えてくれます。

怒り任せにサノスを殺したところで、アベンジャーズ側は何も変わりませんでした。
5年経っても、アベンジャーズ側の世界は不幸なままです。
自堕落になったソーがまさにその象徴です。
「怒りは自分を腐らせる。」
トニーがこう発言するように、復讐は何も生まないことをこのシーンでは教えてくれます。

この復讐の否定をアベンジャーズの最後の映画で表現してしまうことに凄みを感じます。
「avengers」ってそもそも「復讐する者たち」っていう意味じゃないですか。
その「復讐」を最後の作品で否定してしまうんですよね。

アベンジャーズのアイデンティティーである「復讐」を序盤に否定した上で、新たに「正義」の正体を再構築していく。というのがこの映画のテーマだと解釈しています。

他者犠牲と自己犠牲という対立軸

では、アベンジャーズの正義とは何なのか?
その答えを考える前提として、サノスとアベンジャーズの行動基準を整理します。

両者の行動基準は、インフィニティ・ストーンの集め方が象徴的です。
特に対立軸が分かりやすいのがソウルストーンの場面。
このシーンではアベンジャーズとサノスの対立軸が明確に分かれています。

【ソウルストーンの獲得方法】
サノス:最愛の娘を犠牲にしてゲット(他者犠牲)
アベンジャーズ:自分を犠牲にして仲間に与える(自己犠牲)

サノスは最愛の娘ガモーラを殺してストーンをゲットします。
一方で、アベンジャーズはナターシャが自ら犠牲となり、ソウルストーンをゲットしました。
他者犠牲のサノスに対して、自己犠牲のアベンジャーズ。
サノスは自分が絶対なのに対して、アベンジャーズは自分を犠牲にしてでも仲間を助ける。

ストーンの回収ストーリーをエンドゲームで再度描くことで、両者の対立軸を明確にしています。

この自己犠牲こそがアベンジャーズの正義を考えるキーワードです。

アベンジャーズの正義「自己犠牲」とは?

他者犠牲のサノス 対 自己犠牲のアベンジャーズ
最後に勝ったのはアベンジャーズでした。

アベンジャーズはなぜ圧倒的パワーを持つサノスに立ち向かい続け、そして勝利できたのか?
それは、愛する人を守るためです。
愛する人を守るため、取り戻すために、ヒーローは自分を犠牲にしてでも戦い続けます。

愛があるからこそ自己犠牲の精神が生まれるのです。

そんな愛する人を守る想いが他のヒーローを呼び寄せ、アベンジャーズを結成させます。
アントマンの経験、トニースタークの知識、ソーやハルクのパワー、ナターシャの献身さ、そしてキャップのリーダーシップ。などなど。
一人ではサノスには勝てなかったけれど、ヒーローそれぞれの特性を集結させることでサノスに対抗できるまでのパワーを持つようになりました。
(ちなみに前作ではヒーローが分裂していたので敗れてしまいます。)

この「愛する人を守る」という信念がアベンジャーズというチームの軸であり、アベンジャーズの正義そのものです。

サノスの正義論を超越できたのか?

では、このアベンジャーズの正義はサノスの正義論を超越したことになるのか?

私が思うに、アベンジャーズはサノスの正義論が完全に間違っていたことをこの映画で証明したんだと思います。

サノスは世界のためを思って人口を半分にしました。
つまり、指パッチン後の世界はサノスにとって均衡のとれた「理想の世界」なのです。

そんな「理想の世界」をアベンジャーズは愛する人を取り戻すために元に戻しました。
つまり、世界はサノスの選択にノーを突きつけたのです。
これこそサノスの正義は間違っていたことを証明したことになります。

理想の世界なはずなのに、世界の人々が覆した。
ハルクが指パッチンをした段階で、サノスの正義論は崩壊していたのです。

過去サノスとの戦いの意味

では、ラストの過去サノスとの戦いにはどういう意味があるのでしょうか?

これは両者が戦う運命だったのだと考えます。
アベンジャーズは、過去のサノスを出し抜いてストーンを集めます。
過去を取り戻そうとするアベンジャーズにとって過去のサノスとの戦いは避けられません。

サノスにとってみれば、将来世界の人口を半分にするつもりなら、どこかで反乱する者が出てきます。
今回はその反乱者が未来からきたアベンジャーズでした。

過去に捕らわれ、過去を救おうとするアベンジャーズ。
未来を夢想し、未来の実現のために行動し続けるサノス。

そこにタイムスリップという技術が登場します。
両者が戦うのはまさに運命だったのだと思います。

アベンジャーズの勝利が意味すること

壮絶な総力戦の結果、アベンジャーズ側が勝利します。
アベンジャーズの勝利の要因は、2つです。
・仲間との連携
・自己犠牲の精神

まさにアベンジャーズの正義がサノスを肉体的にも超えたことになります

大いなる悲劇を前にしても、人間は愛する者を取り戻すために立ち上がり続けた。
アベンジャーズはその粘り強さをサノスに証明した形になります。

愛する者のためにヒーローは戦う。

言葉にすると恥ずかしくなるようなこの考えを、アベンジャーズは身をもって教えてくれました。

劇中でスタン・リーがこう叫びます。
Make love, not war!

この言葉こそエンドゲームのテーマだったのだと後になって気づきました。

以上が、私のエンドゲーム解釈です。