映画『3月のライオン 前編』感想と後編への期待

2017年3月18日(土)遂に公開された映画『3月のライオン 前編』。
先日やっと観賞してきました。

前回の記事では、漫画版3月のライオンの素晴らしさを踏まえ、実写化される上での期待する点や不安点をまとめました。

前回記事:映画『3月のライオン』の期待と不安

そんな期待と不安を抱えながら実際に映画を観てみたら、、

とっても素晴らしい映画でした。

漫画で描かれていた人間ドラマがうまく映像化されており、
将棋のシーンもしっかりと迫力がありました。
原作ファンも納得の作品だったのではないでしょうか。

ただ、この漫画の最大の良さであるほのぼの感は少なかったかなぁと。

今回はそんな『3月のライオン 前編』の感想です。

後編の感想はこちら:『3月のライオン 後編』の感想。~孤独な世界の出会いの物語~

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内容(若干のネタバレあります)

内容は原作にとても忠実でした。
前編では漫画の巻数でいうと1巻から6巻の途中までといったところでしょうか。

前編で描かれていた主なストーリーは以下の通りです。

  • 零の生い立ち(親との死別・幸田家での生活・川本家との出会い・一人暮らし)
  • 義父との勝負
  • 林田先生のサポート
  • 川本家の暮らしぶり
  • 心友・二階堂との関係
  • 姉との確執
  • 島田さんとの出会い
  • 島田対宗谷との闘い
  • 新人戦(準決勝・決勝)
  • 二階堂の病気

漫画版の6巻では、ひなたちゃんがいじめられることを知った零は、自分が何か役に立てないかと悩みながら新人戦に臨みました。
一方映画版前編では、ひなたちゃんのいじめ問題は出てこないまま、零は新人戦に臨んでいました。

イジメ問題は後編で描かれるのでしょう。

詳しい内容は映画をご鑑賞下さい。

感想(良かった点)

・多彩な登場人物の内面描写

3月のライオンでは多くの登場人物が出てきます。
多彩な登場人物が映画では忠実に再現されていました。

特に、高橋一生さん演じる林田先生と、中村倫也さん演じる三角龍雪が原作通りで、笑えるキャラクターでした。

そして、前記事でも書きましたが、
この漫画の良いところの一つは、
そんな多彩な登場人物が描き出す人間らしい群像劇
という点にあると思っています。

今回の前編でも、それがしっかりと映像化されていたように感じます。

主人公である零の人生はもちろん、
獅子王戦トーナメントで戦った島田さんや
零の義理の姉・香子、
香子の不倫相手でもあり、先輩棋士である後藤。
一人一人の内面を表すシーンがしっかりと描かれていました。

映画でも漫画と同じように感じられることができました。
この人にはこの人の人生があるんだなぁ」と。

 

・表情で語るシーンが多かった。

映画では表情で語るシーンが多かったように思います。
原作の漫画では人物の心情や場面の解説をしているコマが多いのですが、
映画では安易に心情をセリフ化させず、表情で語るシーンが多く見受けられました。

日本の映画ではよく説明のし過ぎる映画が多いと思っています。
最初の30分と最後の30分は登場人物が状況説明や解説を長々と話し、
なんとか作品として仕上げている映画がよくあります。
(『デスノート』や『進撃の巨人』とか…)

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しかし、この映画では説明ゼリフは極めて少なかったように感じます。
その代わり表情で語るシーンが非常に多くありました。

その分心情の読み取りが難しかったのですが、
それがよりリアルさを醸し出していたのかなと思います。

感想(不満だった点)

・ほのぼのしたシーンが少なかった

今回の映画は『3月のライオン』のシリアスの場面をピックアップして140分になんとか落とし込んだイメージです。
つまり、どこをとってもシリアスな場面。
ほのぼのしたシーンは少なかったように感じます。

特に漫画と比べると川本家でのほのぼのシーンは非常に少なかったです。
将科部の野口先輩も登場してきませんでした(泣)

3月のライオンの良さは、人と人との温かな触れ合いが作り出す優しいほのぼの感にあると思っています。

今回の映画はシリアス中心に描かれており
大事なほのぼの感は少なかったかなぁと感じております。

・原作を読んでいないと理解が難しいかも

将棋のお話ということで、将棋を知らないと理解できないのではと不安に感じられる方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
メインは将棋ではなく将棋を通した人の成長にありますので、将棋のルールを知らなくても十分楽しめる作品となっています。

ただ、原作を全く知らない人は理解していくのに必死で、世界観に浸る余裕が無いかもしれません。
作品は原作にかなり忠実に作られてるので、漫画のシーンが数多く再現されています。
その結果何の説明もなしに急に登場するシーンがいくつかありました。

例えば、新人戦準決勝で零と戦った「東のイライラ王子」蜂谷5段。
漫画ではしっかりとキャラ付けがされていましたが、
映画では何の説明も無く登場。
とってもイライラしながらあっという間に終了。
原作を知らない人は「一体アイツはなんだったんだ? 」と消化不良感が残る気がします。

原作を読んでからの観賞をオススメします。

後編への期待

前項で不満な点を書きましたが、総じてとても良い作品だったと思っています。
4月22日に公開される2部作の後編も期待しております。
一番期待しているのは零の目線です。

・零の目線の変化

AERAでのインタビューで零を演じている神木隆之介さんは今回の撮影では目線に意識したとおっしゃっていました。

他人と話すときは目をしっかりと合わせるけど、家族と話す場合は目を合わさずに返事することもある。今回は話す相手に応じて目線の合わせ方に意識しました。(AERA3/13号 より要約)

3月のライオンでは零にとって血のつながっていない「家族」が登場します。
幸田家の人々。そして川本家の人々。

映画の前編では川本家や姉香子に対してもしっかりと零は目線を合わせて話しをしていました。
今後零は、母親と何気なく会話するときのように目線を合わせずに返答するような時が訪れるのでしょうか。

後編では零の視線に注目です

また、後編ではひなたちゃんのいじめ問題に加え、川本家の父親が登場と前編以上にシリアスで重い内容になりような予感。
少しでもほのぼの感が描かれていたらいいなぁと期待しております。

何はともあれ、後編の公開楽しみにしています!

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後編を観賞後の記事はこちら:『3月のライオン 後編』の感想。~孤独な世界の出会いの物語~

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