自分にとってのサードプレイスはどこなんだろう?
『穴場の喪失』という本を読んだことがきっかけで、第三の場所について考え始めました。
今回読んだ『穴場の喪失』という本は、居酒屋が大好きなおじさん二人が、最近のぐるなびや食べログなどのネット評価は居酒屋文化を破壊している!」と、穴場的居酒屋の喪失を嘆く対談集です。
「昔は良かった」的な懐古主義的箇所も多々ありましたが、ネット社会が地域文化を破壊しているという指摘は、なるほどなぁと思えました。
彼らの言う「穴場」とは、別の言葉にすれば「第三の場所(サードプレイス)」と言えるのかもしれません。
みなさんにとって第三の場所はありますか?
穴場居酒屋の喪失
『穴場の喪失』という本は、居酒屋好きな早稲田大学の教授二人(歴者学者の本村先生と、日本研究のモラスキー先生)が、ネット文化の普及で個人経営の穴場的居酒屋が少なくなってきていることを嘆く対談集。
モラスキー 「ネット情報の拡散により、伝統的な街が、ある日突然テーマパークのようになり、かの地の古い居酒屋に行列ができたり、予約しないと入れなくなったりするような現象が起こっています。」
本村 「その結果、長年通ってその店の雰囲気を築き上げてきた常連客たちが、弾き出されてしまう。この現象はグローバル化と同様に、地域文化に対する侵害という側面があるのではないでしょうか。」 (本書p.20)
ネット情報の氾濫により、その土地固有の地域文化が大衆の消費対象となってしまった。消費の対象となったことにより、今まで常連客とで作り上げてきたその店独自の雰囲気が壊されてしまった。
彼らはこの現象を穴場の喪失と嘆きます。
彼らの言う「穴場」とは?
私にとっての穴場とは、美味い肴や酒があるというよりも、気が置けない、居心地のよい居酒屋ということです。 (本書p.16)
私が店選びでもっとも重視するのは、人です。「あの客は愉快だから、また話をしたい」と思ってもらえれば、何度でも通えるようになります。(本書p.28)
つまり彼らの言う穴場とは、「常連客の多い個人居酒屋で、自分も他の常連客と交じってくつろげる場所」ということでしょうか。
これを別の言葉にすれば、「第三の場(サードプレイス)」と言い換えることができると思います。
第三の場(サードプレイス)とは?
第三の場(サードプレイス)とは、アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグ氏が唱えた、家庭と職場以外に自分がくつろげるもう一つの居場所のこと。
オルデンバーグ氏は、
家庭を、ファーストプレイス、
職場を、セカンドプレイスとし、
都市生活者には上記2つとは別にもうひとつ、
良好な出会いがあり、自分がくつろげるコミュニティ(サードプレイス)の存在が重要だと説きました。
サードプレイスの条件として、
●飲食が可能
●参加する義務感を感じない
●アクセスがしやすい
●フレンドリーで心地よい
などの条件が掲げられています。
『穴場の喪失』で二人が言う「穴場居酒屋」はまさにサードプレイスなのでしょう。
第三の場所(サードプレイス)を持っていますか?
現代社会において自分の居場所を3種類とも持っている人は稀なのではないでしょうか。
- 未婚率が上昇し、一人暮らし者の増加。家族のつながりがどんどん減っていくファーストプレイス。
- 「社員は皆家族。」という一家主義的な終身雇用経営も今は昔。ハラスメントに誰もが怯え、人間関係がどんどん希薄化するセカンドプレイス。
- 『穴場の喪失』で二人が嘆くように、ネット社会の発達により、サービスが画一化・没個性化し消費の対象に成り下がってしまった、サードプレイス。
皆さんはここが自分の居場所だと思える場所がいくつありますか?
周囲の人々を見ていると、サードプレイスを強く欲している人が多いように感じます。
人とのつながりが希薄化してきている日常生活の中で、
どこかで人と繋がっていたい。
どこかで人間味を取り戻せる場所が欲しい。
そんなサードプレイスを求めている人は、現代社会においてはとても多いのではないでしょうか。
学生時代の友人を呼んで、定期的に会うのもいいですが、
あそこに行けば誰か知っている人がいて、くつろぐことができる。
そんな場所が欲しいものです。
本の感想
今回、第三の場所の重要性について考えさせられた本はこちら。
内容は、第一章が穴場の喪失について。
残りの章は、お互いの興味ある分野についての日米文化比較論が展開されます。(「映画ヒーローの日米比較」、「ギャンブル」、「地域性」などの日米比較)
題名に関係ないじゃんと思いますが、まさにその通り。(笑)
ただ、日本を研究するアメリカ人と古代ローマを研究する日本人による文化比較はとても興味深い内容でした。
穴場について考えたい方、現代の文化比較に興味がある方にお勧めの書です。
自分にとって第三の場所と呼べる居場所は社会人フットサルサークルかもしれません。
入団した経緯や加入の仕方についてはこちらの記事をどうぞ。